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ペットから学んだこと [日記・雑感]

ペットという言葉自体、好きではないのですが...

小学校6年生のある日の晩の出来事。
車で帰宅した父が暫く家に入ってこない。
外に迎えに出た母の困り果てた声が聞こえる。

父は車の室内灯を付けたままモゾモゾと何かしている。
暫くして父が何かの箱を抱えて軒下までやってきた。
抱えられたダンボールには、子犬と呼ぶには少し大きな雑種犬が居た。
彼は耳が垂れ、鼻は渇き、ショボンとした感じで
申し訳なさそうな表情で私を見上げた。
どうやら車酔いして粗相した後のようだった。
私と弟は無条件に喜んだ。

彼はビーグル犬と雑種犬の間に生まれ
引き取り手が無く、父の勤め先で暫く飼われていた。
明日にでも保健所に連れて行くという話になったところを
父が引き取ってきた。

母が大の動物嫌いなのに...。

彼は「エル」と名付けられ
この日から約12年間を三男として過ごし
私と家族に沢山の思い出をくれた。
母は「ウチの(エル)が一番カワイイ」と言うまでになった。

私は父を尊敬している。
エルを連れて帰った時の母の反応は目に見えている。
自分の妻が動物嫌いであれば
会社の他の人と同じように目をつむる事だって出来たはずなのに。
それでもエルを連れて来た。
きっと「何でコイツが人間の都合で殺されなきゃいけないんだ」
と思っていたに違いない。許せなかったと思う。
今思えば、その時に父が一番大切にしたのは「命」だった。
今でも記憶にあるのは「犬とはそういうもんだ」といったような父の言葉。
何の時に出た言葉か忘れましたが
「本来の犬の性質を無視した過保護は間違いだ」
ということを意味していたと思う。

最近のペットブームには恐ろしさすら感じる。
ペットショップには様々な犬種がズラリと並んで値札が貼ってある。
彼らを見ていると癒された気にはなるけど、どこか不自然な感じがする。
犬に値段が付けられて売られている姿は東京に来て初めて見たことだったし
おそらく私が「全員、飼い主に出会える」と思ってないからでしょう。
出会えなければ、どうなるかも知っている。
私自身、エルを通して学んだことは大きかった。
命を育む命があると考えれば、人間にとってペットという存在は間違いではないと思う。
でも溢れるほど売られているペットを見ていると
正直、心が痛い。
この心の痛みをエルは私に教えてくれたんだと思う。


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コメント 4

Souichi K.

ひさしぶりです。

私も子供の頃、犬を飼ってました。最初は世話をしてたのだけど、だんだん世話をしなくなり…でも命ある生き物ですから、いつかは死にます。その時に感じたことは今でも忘れません。あんまり世話をしてなかったので罪悪感ともうしわけないと思う気持ちで、それ以来、動物を飼ってないですね。
by Souichi K. (2005-11-13 23:45) 

kazu

Souichi K.さん、お久し振りです。

もう少しああしてやれば良かった...というような気持ちは
なかなか持つ機会が無いので、動物を飼うことは貴重な体験ですよね。
そして次に自分のところに巡ってくる命に対して生かされると考えています。
ウチの実家もエルに対する思い入れが強かったので
次に動物を飼うことは考えていないです。

Souichi K.さんが動物を飼えば、良い被写体になるかも...。
それに動物健康管理プログラムとか...(笑)
by kazu (2005-11-14 03:23) 

Souichi K.

ん~、確かにいい写真が撮れそう…

動物健康管理プログラム…
そのまえに、自己健康管理プログラムを作ったほうがいいかもしれません^^;
by Souichi K. (2005-11-22 20:44) 

kazu

自己健康管理プログラム...。

私もです...。
by kazu (2005-11-23 12:42) 

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